生姜の話

生姜の話。
ショウガはアーユルヴェーダでは大切なスパイスの一つですが、正確なデータを知っている方は少ないかと思います。
まずはアーユルヴェーダで基本的な知られているお話です。
アーユルヴェーダでは、辛味と甘味、ヴィパーカ(消化後の作用)は甘味となっています。

適量では中立〜温度の性質です。6つの味覚のうち塩味以外の5つを含んでいます。←甘味、辛味、渋味、苦味、酸味です。

乾燥ショウガは辛味のヴィパーカです。生のショウガは適量であればヴァータとカパ、全てのドーシャのバランスを整えるサットヴァ的なスパイスになります。
ここからが、現代でわかっているデータを基としたお話。

ショウガはアーユルヴェーダでの位置付けをみると、温めの作用だと思いますね。
しかし、先に書いたように【適量】とあります。
適量とはどのくらいなのか?
適量でない場合はどうなるのか?
それは、ショウガの含有成分に秘密があります。
日本ではこの夏に素麺や冷奴などに生の摩り下ろした生姜をのせて召し上がった方もいるかと思います。
温めなのに夏の風物詩になっている理由はわかりますか?
実はショウガにはジンゲロールとショウガオール二種の成分があるのですが、最初に感じるピリッとした辛味のジンゲロールは毛細血管を拡張して末端に熱を伝えますが、これは一時的に手足を温めますが深部体温を低下させます。
風邪を引いた時に生姜湯を飲んだことがある方もいると思います。これは、温めよりも実は解熱作用のために飲むものだったのです。
温めの作用成分はショウガオールです。
これは後からくるジワジワとした辛味で、内臓、胃腸を活性化し身体の内側を温めます。
深部体温の上昇ができます。
そのジンゲロールとショウガオールですが、先日とある学術の勉強会で学んだデータで初めて知って驚きました。
生のショウガ10gではジンゲロールは5.7mg、ショウガオールは0.08mg。
加熱したショウガ10gでは、ジンゲロールが4.3mg、ショウガオールは0.12mg。
加熱するとショウガオールが増えることは知っていたのですが、それでもジンゲロールの量が多かったのです。
しかも、金時ショウガというのがありますが、これは大変ジンゲロールが多く22mgもあります。
ここでわかることは、ショウガは適量を超えると身体を冷やす作用が強くなり、体温が下がる!ということ。
暑い環境の国でショウガがたくさん使われた料理があるのは、冷やす作用を見込んでいるからなのかもしれません。
学術の勉強会で、研究者の方が個人的な体験実験として、うどんに大量のショウガを入れて食べたそうです。食後はカッと熱くなったそうですが、その後冷えをしっかり感じたとのこと。
私も間違った経験をしています。
寒くて消化が重かったある日の夜に、トゥルシーティーに多めの摩り下ろしたショウガを入れて飲みました。一瞬熱くなったあと、具合がおかしくなりました。
急に寒気がして布団にくるまりました。しばらくして体温が戻り、体調の急変に驚いたことがあります。てっきり風邪の症状かと思っていましたが、これはショウガの冷やす作用の結果です。
夏に日本でおろしたショウガを食べるのは冷やしの作用とジンゲロールの殺菌作用なのですね。
先に述べた【適量】ですが、halepuleのアーユルヴェーダ調理では一つの料理に使う一人分のおろしたショウガの量は、小匙1/4くらいです。多くても1/2。
すごく少ないと思いませんか。
これは、体温に感じるほどのショウガを食べることを勧めていないのだと私は考えました。
あくまで胃の働き、消化の働きを助ける程度の量。
これが適量として温めの作用をもたらすことになっているのだと思います。
アーユルヴェーダのお薬として処方されるトリカトゥなどは、乾燥ショウガを使ったり、お薬としての作用を考えて多い量になっています。
毎日ショウガをその作用を一番よく取り入れるには、ほんの少しという気持ちで、多く摂れば温まる!とは思わないで取り入れてみてください。
そしてお茶にする際も少しの変化ではありますが、ジンゲロールを少し減らしショウガオールを増やすので加熱してくださいね。
私はオーガニックのショウガを家で乾燥ショウガにしています。
あまり乾燥ショウガの出番はないですが、簡単に作れるので安心なショウガパウダーもぜひお家で作ってみてください。



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Prakasa / プラカーシャ

アーユルヴェーダのお料理教室。訪問型お料理教室やリトリートシェフのお仕事を承ります。halepule公認シェフトレーニング修了。halepule全米ヨガアライアンス修了。ホリスティックに心と体を整えるお手伝い。